従前の資産に関する評価は、地区内権利者にとって最大の関心事です。
事業採算に適合し、権利者の納得しうる説得性ある評価が求められます。
個々の権利者の実態に応じた適切な補償の算定が、権利者の生活再建の目処を約束します。
正確な調査・認識が権利者の信頼を得、評価・補償・権利変換計画作成の基礎資料となります。
用途間バランス、階別バランス、位置別バランス、すべてに適正で権利者の納得が得られ、なおかつ市場性を考慮した評価が重要です。
資金計画の決め手は、建築コストを保留床処分の相互関係にあり、この相互均衡をいかに調整するかが重要です。
補助金の積算、資金調達計画による借入金利子の削減等も大きなウエイトを占めます。
基本構想、基本計画、都市計画決定、組合設立認可、権利変換計画認可、建築工事契約、保留床処分、事業完了、清算のあらゆる段階での修正対応が必要になり、毎年の補助金申請時の基礎資料としても重要です。
計画書を作成するのは権利変換計画の最終段階です。
権利者の意向把握、評価上の説得作業、損失補償金の説明、転出・残留の意向聴取、配置調整、はては相続相談、身上相談などの過程を経て権利変換計画がまとまります。
権利変換計画書は、法律の細かい部分に十分注意を払って作成する必要があり、詳細な計算と法律理解、法律解釈の集約といえます。
建物所有者・使用者間の利害調整と財産価値の維持・施設利用者の利便性確保との間の落ち着き所がキーポイントとなります。
規約・規則・利用規程などの詳細な取り決めと、共益費の負担調整が最大のポイントとなります。
事業地区内の人々は、高齢者も多く、商業者、主婦、サラリーマンとこのような事業に馴染みの薄い人が大部分です。
これらの人々に事業の組み立て、権利変換のしくみを理解していただくのは大変です。
話を聞いてもらうためにも、専門用語、コンサルタント言葉を使わず、一般のことばでわかりやすく、丁寧に説明するのが大切です。
「今日の話はよくわかった!」と言ってもらえることが信頼を得る第一歩で、これが事業成立への一番の近道でありスムーズな権利調整の基本と言えます。
事業を進めるには、再開発法に精通していることは当然ですが、実務に裏づけられたものでなければ役に立ちません。
ことに不動産・権利に対して深い理解があり、かつ事業経験が豊かで柔軟な対応のできる専門家が求められます。